「白いごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」!?牧田善二氏の主張がいつも通りヤバい

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https://pixabay.com/より

いつものようにネットサーフィンをしていたら、こんなネット記事を見かけました。

「白いごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」脳を侵食する”糖質中毒”の恐さ (msn.com)

ヤバすぎるタイトルで「は???」となったんですが、以前の記事でも紹介した牧田善二氏というヤバいお医者さんです。

以前の記事はこちら

まだ懲りてないのか・・・と一瞬思いましたが、彼にとってはこれが飯のタネでしょうし、そもそも誰も彼を懲らしめたりはしていないでしょうね。

というわけで、今回も色々と根拠を提示しながら、彼の言説を否定していきたいと思います。

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「白いごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」への反証

牧田氏は上記の記事で以下のように述べています。

私たちを太らせるのは、カロリーや脂肪ではありません。人は糖質によって太ります。

「白いごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」脳を侵食する”糖質中毒”の恐さ (msn.com)

ここで大事なのは、ごはん、麺、パン、パスタ、イモ類などの炭水化物は、すべて糖質だということです。これら炭水化物は「多糖類」といい、消化・吸収の過程ですべてブドウ糖に分解されます。砂糖は「二糖類」で、やはりブドウ糖に分解されます。要するに、ごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じなのです。

「白いごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」脳を侵食する”糖質中毒”の恐さ (msn.com)

まず「人はカロリーや脂質ではなく糖質で太る」というのは誤りで、普通に余剰カロリーによって太ります。ただ、勘違いしがちですがカロリーというのはあくまで「熱量」つまりはエネルギーの単位です。エネルギーが直接太る原因ではなく、エネルギーが溢れるほどの食事がいけないと考えましょう。

次に「ごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」ですが、こんなことを言ってしまうと大体の食品は砂糖です。なぜならどこかに糖類を含んでいるから。肉ならまだしも、多くの野菜は砂糖の塊ということになってしまいます。

では、そう言われていないのか。それは糖類以外の栄養分が含まれているからだと考えます。

砂糖というのは、ほぼほぼ純粋な「ショ糖」という二糖類(糖が2つくっついたもの)の結晶です。一方で、お米には多糖類(糖が3つ以上連なったもの)であるデンプンの他に、タンパク質や食物繊維などが含まれています。

体を動かすための直接的なエネルギーとなる糖類は、確かにそれだけを大量に摂取すれば太ってしまうこと間違いなしですが、それ以外に含まれている栄養分を無視して「砂糖とコメは同じなんだ!」と言い切ってしまうのは、いささか乱暴だと思われます。

また、脂質を食べることに関しては以下のように述べています。

一方で、脂肪を食べても太りません。脂肪は、私たちの体に37兆個もあると言われる細胞の膜の材料として、どんどん消費されます。ホルモンをつくるためにも脂肪は必須です。にもかかわらず、1日に60g程度しか摂っていないのですから、そもそも過剰にはなりません。

「白いごはんを食べるのは砂糖を食べるのと同じ」脳を侵食する”糖質中毒”の恐さ (msn.com)

以下の論文で述べられているように、現在においても「脂質は肥満の直接的原因になるかはわかっていない」が現時点では正しいはずです。一方で、西洋的な高脂質食が普及し始めてから、日本人の肥満率が顕著に上昇しているという事実も無視できないはずです。

また、牧田氏の推奨する糖質制限ダイエットにおいてはエネルギー源として脂質を取ることになりますが、高脂肪食を食べることのデメリットを示す論文も出ています。以下の記事は、最近Twitter上でも話題にしていた人が多かったように記憶しています。

「高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明」―幹細胞における炎症・再生シグナルの異常が毛包の萎縮を引き起こす―|東京大学医科学研究所 (u-tokyo.ac.jp)

また、過去にブログの記事で糖質制限を紹介した身で言うのもアレですが、私自身は糖質制限をお勧めしません。なぜなら、脂肪をエネルギーとして使えるように体が「ケトーシス化」していくと、体臭が酸っぱくなるから。他にも理由はありますけどね。

また、糖質制限はあくまで「糖尿病患者が、医師の指示のもと、短期間行うことで効果が期待できる」程度のものです。安易に行った結果リバウンドしてしまうなどのデメリットが生じることは、以下の論文でも示されています。

CiNii 論文 –  糖質制限ダイエットを考える

部分的には正しいことを言っている

一方で、現代人の食生活に警鐘を鳴らすような表現の一部は、肯定すべき内容もあります。

例えば、現代人は糖質を摂り過ぎているという内容。清涼飲料水、コーヒー飲料、エナジードリンクなど、様々な飲み物にたくさんの糖分が含まれています。このような飲み物を常飲することで、若年性糖尿病になる人も最近では多いと聞きます。

また、身近にある飲食店としてラーメン屋などがありますが、ラーメン自体は糖質の塊であるため、トッピング等で野菜や肉類、卵などを摂らなければ、バランスの悪い食事になってしまうことも間違いありません。

ただ、「糖質を食べたくなってしまうのは糖質依存症という脳の病気です」と言ってしまうのはどうなのでしょうか。

人間には臼歯が発達しており、これは古代から人間が穀物などから栄養を摂取していたことを示しています。このことからも、人間は糖質を主たるエネルギー源としていることが分かります。

なぜ牧田氏は過激な表現を行うのか

以前の記事でも紹介しましたが、牧田氏は「当たり前だと思ってるそれ、間違いです!」と誇大表現をしがちです。そして、それらの表現は大体的外れです。

なぜ彼がこのような表現を続けるのかというと、自身の利益に繋がるからなんですよね。

彼は医師として糖質制限を使って患者を治療するようなクリニックを解説していますし、糖質制限のやり方を始めとした健康本を多く出版しています。

ネットの海の中に目につきやすいタイトルの記事を流してやることで、自身のクリニックの来院者数が増え、書籍がたくさん売れることで、利益がたくさん出てウハウハというわけです。

公立系以外の病院やクリニックは利益を出さないと存続できませんから、ある程度のマーケティングが必要なのはそうなのですが、大衆を騙すようなその手口は褒められたものではありません。

このサイトの読者が間違って買わないようにリンクは載せませんが、彼が執筆した書籍名を一部紹介したいと思います。

『医者が教える食事術 最強の教科書』、『糖質オフのやせる作おき』、『糖尿病専門医にまかせなさい』、『日本人の9割が誤解している糖質制限』、『人間ドックの9割は間違い』などなど・・・

タイトルから色々察してください。

現在に危機感を持っている人は変な言説に引っ掛かりやすい気がする

なんとなくですが、現在の状態に何も危機感や違和感を感じない人って、こういう変な言説に騙されることは少ない気がします。

牧田氏の場合、「自分は太っているけど、今の食生活の何が問題なんだろう」と悩んでいる人がターゲットです。「糖質を摂るのをやめなさい!」と分かりやすい正解を与えてあげることで、ターゲット側は泥沼から脱出できたという達成感や、専門家が言っているんだから大丈夫という安心感を得ることができます。

悩んでいる人、困っている人に対し、寄り添うかのような姿勢で近づくことで安心させ、結果的に利益を得るという結果だけ見ると何かに似てると思いませんか?

科学においては、相当に研究が重ねられたものでない限り、断定的な表現を使うことはありません。そんな科学のあり方がもどかしく、わかりやすい断定表現に飛びついてしまうのも分かります。

でも、そんなときに踏みとどまって、過去の論文などを調べ、エビデンスから論理的に考えられるような人が増えてほしいと思っています。自戒の念も込めて。

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