プロテインが「不自然なタンパク質」って何!?牧田善二氏の主張を科学的に否定する

雑記
https://www.irasutoya.com/より

先日、いつものようにネットサーフィンをしていたら、トップページのニュースにこんな記事がありました。

「健康維持にプロテイン」は逆に体壊す医学的理由 タンパク質の過剰摂取が引き起こす大問題 (msn.com)

見出しを見た瞬間に「んんん!?!?!?」となり、記事をとりあえず最後まで読んでみましたが、書かれていることが本当に医師によるものなのか怪しく思わざるを得ません。

今回は、「プロテインは体に悪い」とする上記の記事に異を唱えつつ、実際にプロテインで体調を崩す場合について解説したいと思います。

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プロテインは「不自然なタンパク質」なんかじゃない!

そもそも、不自然なタンパク質って何でしょうか。

一般的なホエイプロテインは、牛乳を原材料として作られます。ホエイは「乳清」とも呼び、牛乳からカゼインや脂肪分を除いたものです。またカゼインもプロテインとして用いられることがあります。

そのほかにも、大豆、牛肉、卵など、様々な食材がプロテインの原料となっていますが、そのすべてが我々が日常に口にする食品です。

何をもって「不自然なタンパク質」とするのでしょうか。

工業的に生産されたということであれば、機械によってすりつぶされた肉を形成した練り物なども不自然なタンパク質の塊と言えるでしょう。

化学合成されたものという意味であれば、そのようなプロテインは出回っていないためこの論理はそもそも通用しません。

牧田氏の主張は矛盾だらけと言わざるを得ません。

過剰摂取によって腎機能に影響が出る?

牧田氏の記事に以下のような記述があります。

そのようなものを口にするのは、健康に逆効果だということを、ここでは強調しておきたいと思います。タンパク質の過剰摂取は、気づかぬうちに腎臓の機能を悪化させるからです。

「健康維持にプロテイン」は逆に体壊す医学的理由 タンパク質の過剰摂取が引き起こす大問題 (msn.com)

腎臓は人間が命をつなぐための解毒作用を担っており、腎臓が働かなくなれば、尿毒症を起こし(つまり全身に毒が回り)即、命を落とします。QOL(生活の質)が高い人生を送るために、非常に重要な臓器なのです。

「健康維持にプロテイン」は逆に体壊す医学的理由 タンパク質の過剰摂取が引き起こす大問題 (msn.com)

脅迫じみたことが書き綴られていますが、「腎臓は大事な臓器です」ということ以外嘘です。牧田氏の主張には論文の引用など、科学的根拠が一切ありません。いくら医師と言えど、根拠を示さねば「ただの感想」でしかありません。

この間も、科学的根拠もなく「この薬は効く。医師免許を賭ける」とか言っている人がいましたが、このような類の発言は信用しないのが良いでしょう。

実際に、2016年に発表された以下の論文にて、高タンパク質の摂取は腎臓や肝臓だけでなく、血中脂質にも有害な影響を与えないという結果が出ています。

A High Protein Diet Has No Harmful Effects: A One-Year Crossover Study in Resistance-Trained Males – PubMed (nih.gov)

また、一般的に「1日230g以上は腎臓に影響があり危険」といわれることがありますが、下記でも述べますがこの量の摂取は現実的には不可能です。

森永の回答

また、タンパク質の摂取量に関して、森永製菓のページにて解説されています。

アスリートや運動習慣のある人に対する高タンパク質食の影響は? (morinaga.co.jp)

上記のページでは、2015年から2018年にかけて発表された論文の中でタンパク質摂取量について調べられた論文の内容についてまとめられています。

このページの結論としては、日常的に運動を行う人は体重1kgあたり2.2gのタンパク質を摂取したとしても健康に有害だという根拠はないということ。また、元論文においては少なくともこれくらい摂取しなければならないとまで結論付けています。

1kgあたり2.2gとなると、体重が60kgの人でも1日に132gが必要ということになります。

132gのタンパク質を鶏むね肉に換算すると約680g(3~4枚)、卵に換算すると20個以上となります。また、よくあるプロテインパウダーを水に溶かした場合、200mlあたり15~20g程度のタンパク質を含むので、1日に2Lもプロテインドリンクを飲まなければならないことになります。

これほどの量となると、一般的な人であればそもそも摂取することが困難です。

消化能力の低下などは考えられる

粉末や液体による摂取にばかり頼っていると、タンパク質やアミノ酸に限らず消化能力の低下につながる可能性はあります。

野菜ジュースの飲みすぎによって野菜を消化できなくなると言われるのをよく耳にします。

日本人や韓国人がずっと海藻を食べてきたことで海藻の消化酵素を獲得したように、酪農家が多い地域の人が乳糖分解酵素を乳児期以降も失わないように、その逆の退化も起こりうると考える方が良いでしょう。

プロテインは食事だけでは足りないタンパク質を補うための補助食品として捉えるのが良いと思われます(これは私の感想です)。お肉もしっかり食べよう!

体質によって合わないプロテインもある

私自身がそうなのですが、成人になると多くの人が「乳糖分解酵素(ラクターゼ)」を失います。これにより、牛乳を飲んだ時にお腹を壊しやすくなります。歴史的に酪農を営んでいる地域の人はこの酵素を失わない人が多いらしいので、うらやましい限りです。

普通に売っているプロテインを飲んだらお腹を壊したという経験がある人は、乳糖分解酵素があまり無い可能性が高いでしょう。

そんな人は、乳清をさらに精製し、乳糖をほぼすべて省いた「WPIプロテイン」や、牛乳以外が原料のプロテインを飲むと良いでしょう。WPI以外だと、大豆が原料の「ソイプロテイン」などは、比較的安価で手に入りやすくお勧めです。

変なニュースもあるし、ネット記事の鵜呑みは危険

ということで、今回は「プロテインは危険じゃないよ!」という内容でまとめてみました。

ネットの発達に伴って、誰でもネット上に記事を公開できるようになりました(私自身もですが)。

そんな中から信頼性の高い情報を厳選することは難しいかもしれませんが、「果たして科学的根拠があってそんなことを言っているのか」「断定する口調を多用していないか」といった点に気を付けるだけで、変なk時に騙されることは激減すると思います。

変な記事に引っかからなず、よきインターネットライフを!

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