医師の過重労働って知ってる?超絶ブラックな医療現場現状と、2024年の法改正について

雑記
https://unsplash.com/より

突然ですが、皆さんは「医師の業務はブラックである」ということを聞いたことがありますか?

「いやいや、弊社もブラックだしw」と言う方もいると思いますが、さらに想像を絶するほどの労働を強いられている医師が多くいることをぜひ知ってください。それはそうとブラックな職場で働いている方は転職を検討してください。

現状について解説した後、2024年に予定されている法改正についても述べたいと思います。

スポンサーリンク

現状

医師といってもそれぞれ違った環境で働いていますから、一概に「医師は皆過重労働を強いられている!」と言っているわけではありません。

病院だけでも民間病院、公的病院、大学病院、診療所やクリニックなどがありますし、診療科もたくさんあり、その中でも手術をするかしないかなどで忙しさが変わってくると考えられます。

そんな中でも「勤務医」という、いわゆる雇われの医師の時間外労働時間は以下のようになっています。

厚生労働省 医師の働き方改革に関する検討会報告書、p.37より

この厚生労働省の調査結果によると、勤務医の40%以上は月80時間、年960時間以上の時間外労働をしており、かつほとんどの場合は上司の指示ではないとのことです。

さらに、この上位訳10%が1920時間以上の時間外労働をしているとのこと。

繰り返しますが、これ、1年の労働時間じゃなくて、通常の労働時間以外の過重労働の部分ですからね。

「平日に8時間働き、土日は休む」という一般的なスタイルをしていても年間労働時間が1000時間弱になりますから、その壮絶さが分かると思います。

医師の「応召義務」

医師の労働時間がここまで多くなっていることの原因の一つとして、「応召義務」の存在があります。

応召義務についてざっくり説明すると「医師はどんな時でも診療を必要とする患者がいたら診なければならない」というもので、これは医師法第19条で定められています。

また、同法において、正当な事由がなければ診療を拒んではならないとされていますが、ここでいう「正当な事由」とは事実上診療が不可能な場合に限られるのが現状であり、これが医師の時間外労働の増加に拍車をかけています。

宿日直における時間外労働

上記のように、調査で分かっているだけでも非常に多くの時間外労働が発生していることが分かりますが、把握されていない時間外労働がされている可能性があります。

一般企業などでも、

  1. その勤務内容が通常の勤務と比べて労働密度が低い
  2. 労働時間等の規定の適用をしなくても労働者保護に欠けることがない

という要件を満たすと、宿直手当を支給することで労働者を長時間拘束できることになっています。

医師においても同様で、宿日直の際、待機時間は労働時間としてカウントされないことになっています。

しかし、宿日直をしているとして労働時間としてはカウントしていないにも関わらず普通に外来診療を行っているような事例も確認されているようです。

医師自身の意識など

医療経営などに関する学会などの場で、残業時間削減について取り組まれた内容を聞いていると、意外な共通点があります。それは「医師自身が労働時間の管理をおろそかにしている」ということです。

ただし、これは「医師はだらしない」ということを言いたいわけではなく、むしろ「医師は労働時間を管理しづらい」「管理するような暇がない」という方が正しいと思います。

医師の業務は医療職の中でも特にタイムカード等による時間管理がしづらく、また先述したような宿日直業務は労働時間の細かい把握・管理が難しいという問題があります。

また、「医師とは自分の時間など持たずに診療行為にあたるべし」という美徳感がいまだに根強く残っているという背景もあり、解決は難しいと言えます。

医師の「アルバイト」

医師の世界では「アルバイト」が多く行われています。

メインの病院に籍を置いて勤務する一方で、他の病院に非常勤として働くという労働形態です。

Googleで「医師 アルバイト」と検索すると多くの求人情報が出てくることからも分かるように、医師は常に人員不足であり、求人は絶えません。

アルバイト先での労働時間はメインの病院では把握できていないことも考えられ、その点も労働時間の増加に繋がっている可能性があります。

単純にお金が欲しいためであったり、患者を診ることにやりがいを感じているためであったり、人によってアルバイトの動機は異なると思われますが、その前に健全な労働時間を守らなければなりません。

2024年に向けて

国としても、医師の自己犠牲的な労働によって日本の医療が支えられているという現状を問題としており、2024年に働き方についての法改正を予定しています。

厚生労働省 医師の働き方改革に関する検討会報告書、p.36より

この法改正により、2024年度以降は医師の労働の枠組みを以下の3分類にまとめるとしています。

A:診療従事勤務医に2024年以降適用される水準(原則) 時間外労働の上限を960時間に規制

B:地域医療確保暫定特例水準(医療機関を特定) 時間外労働の上限を1860時間に規制

C:集中的技能向上水準(医療機関を指定) 時間外労働の上限を1860時間に規制

基本的に960時間以内にまとめるとしながらも、B水準では過疎地などにおいても滞りなく医療が提供されることを目的として、C水準では研修医もしくは高度な知識を必要とする分野の医師が勉強することを目的として、1860時間までの時間外労働を個別に認めるという内容です。

BやC水準は個別に申請が必要な上に「労働時間短縮計画」を都道府県に提出し、それを毎年見直さなければなりません。

基本はA水準に収めるということで、以前に比べると超過重労働に苦しむ医師は減るように思えます(それでも普通の労働基準法と比べるとだいぶヤバいんですけども)。

本当なら明日からでもこういう枠組みにした方が過労死とかも減るとは思うんですけど、病院の中での制度作りだったり、国への提出資料だったり、面倒なものが多いせいでそんなに早くは進められないみたいです。

最後に

ということで、今回は医師の過重労働についてまとめてみました。

昨今では「医師の利権がー!」というような批判の声などもよく聞きますが、このような現状もぜひ知っておいて欲しいものです。

以上、線香花火でした!

参考文献

厚生労働省 医師の働き方改革に関する検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496522.pdf

厚生労働省 医師の働き方改革に関する検討会報告書の概要(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000496523.pdf

研究論文 務医の労働と「働き方改革」植山直人(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhwp/3/1/3_49/_pdf/-char/ja

厚生労働省 医師の応召義務について(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000357058.pdf

赤井労務マネジメント事務所 当直(宿直、日直)の問題点(医療機関、病院、診療所、クリニック、医院、歯科、薬局)(https://www.6064.jp/article/13938668.html

コメント

タイトルとURLをコピーしました